ぜんぶ欲しくてたまらない。




体育館に入って2階の観覧席へ行く。


わたしたちの他にも応援しに来ている人もたくさんいて、既に始まっていた他校の試合に釘付けだった。



「すごい熱気だね!」


「うん、びっくりしちゃったよ」



試合ってこんな感じなんだ。


1年生がメインの小さな大会なのに、この観覧席にまで選手たちの緊張と気合いとが伝わってくる。



「あ、奥田くん見つけた」



一番前の空いている席を見つけてコートの方を見ていると、壁際の空きスペースでアップをする奥田くんの姿を見つけた。


時間的に次が奥田くんたちのチームの試合。



……奥田くん、わたしに気づくかな?



じっと見ているとそんなわたしの気持ちが伝わったのか、奥田くんが顔を上げて手を振った。



「……っ」



ここからも見えるくらい大きな笑顔で。


頑張れと気持ちを込めて手を振り返す。


その頃、ちょうど試合終了の笛が鳴り、次の試合が始まった。