ぜんぶ欲しくてたまらない。




そういえば、そんなことを咲良ちゃんにも言われた気がする。


席替えをして奥田くんと隣の席になって。


たくさん話すようになって仲良くなった。


そんなわたしたちのことを見ていた咲良ちゃんは「芽依ちゃんが元気になって良かった」と喜んでいた。


奥田くんと仲良くなれて良かったねって、わたしもそう思う。


奥田くんがいなかったら今頃まだ心が沈んだまま、前を向けずにいたと思う。



「よし、じゃあ次の問題行こっか」


「うん、頑張る!」



テスト勉強ってこんなに楽しかったっけ?


そう思ってしまうくらい時間があっという間に過ぎていく。


それはきっと奥田くんのおかげなんだ。


目の前の問題に集中していた時、閉まっていた教室のドアがガラッと音を立てて開いた。



誰だろう?
部活から戻ってきた人とか?



気になってふと顔を上げた。



「あ、倉敷じゃん」


「……っ」



なんでここにいるの、コウくん。


今日は確かバイトの日のはずなのに。