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「えっと、ここはね」
「へぇーっ、すごい!やっぱり奥田くん教えるの上手だね」
期末テストが近づいてきた放課後。
奥田くんが部活のない日はわたしに付き合って、教室に残ってくれていた。
机を向かい合わせにくっつけて、テスト勉強をする。
「そんな。芽依ちゃんは褒めるのが上手だね」
「そんなこと、初めて言われたよ」
こうして奥田くんと残って勉強をするのはもう3回目。
テストまではあと1週間。
「この調子なら前回と同じくらいかそれ以上行けるんじゃないかな?」
「えっ、ほんと?」
「うん。芽依ちゃんは勉強苦手かもしれないけど理解力がないわけじゃないから頑張れば頑張るだけ伸びると思うよ」
奥田くんは毎回わたしの嬉しい言葉をかけてくれる。
その度に胸が温かくなった。
「えへへ、ありがとう奥田くん」
「いえいえ。最近芽依ちゃんの笑顔が増えて嬉しいよ」



