ぜんぶ欲しくてたまらない。




「名字変わったってことはお母さんについてきたんだね」


「うん多分……コウくんのお母さんの地元はここだって言ってた気がするし」



お父さんの仕事の都合で引っ越ししていったけど、離婚したことを理由に地元に戻ってきたと思えばすごく納得がいく。



「芽依ちゃんは……えっと、倉敷くん?と久しぶりに話してこなくていいの?」


「すっごく話したい」



話したくて、また名前を呼んで欲しくて、さっきからずっとうずうずしてる。



「なら行ってきなよ!きっと倉敷くんも芽依ちゃんと話したがってるって」



あんなに仲良しだったんだから、って久しぶりの再会に緊張するわたしの背中を押してくれた。



「うん、行ってくる」



楽しげに話している須藤くんの邪魔をするのは悪いかと思ったけれど、少しだけお邪魔することにした。


コウくんに近づくにつれて、胸のドキドキと早くなる。


嬉しい。
緊張する。
ドキドキする。


あぁ、やっぱりコウくんは1番かっこいい。