ぜんぶ欲しくてたまらない。




「思いっきり雑用だね、これ」



大量の資料を抱えて教室に戻ってきたわたしたちは、机に種類別に並べて一つにまとめてはホチキスで止めていく。


黙々とやっていた作業に奥田くんもわたしと同じことを思っていたらしい。



「そうだね……でも、あと少しだし頑張ろ」


「おおっ、ポジティブだね芽依ちゃん!」



奥田くんはとても手際が良くて、大量にあった資料も30分くらいで終わってしまった。



「ふぅ、終わったー」


「頑張ったね、芽依ちゃん」


「ううん、頑張ってたのは奥田くんだよ」



できた資料はまた職員室へと運ぶ。


優しい奥田くんはわたしよりも多くの資料を持ってくれて、その差はわたしの倍くらい。


なんだか申し訳なくなりながら、一緒に届けた。



「今日は部活もないし途中まで送ってくよ」



そう言われて奥田くんと一緒に帰る帰り道。


なんだろ……さっきまでずっと2人でいたのに今更緊張してきた。



「大丈夫?」


「えっ?」


「さっきまで話してたのに急に黙り込んじゃったから」


「ううん、大丈夫だよ!」