その後無事に授業が終わり放課後になった。
「もう、運が悪いね芽依ちゃん」
「あはは……先生がこっちを見てたこと全然気がつかなくて」
ホームルームが終わったあと、咲良ちゃんがわたしの席まで来て慰めてくれる。
「呼び出しされちゃってるから今日は一緒に帰れないや。ごめんね、咲良ちゃん」
「いーよいーよ!あ、その代わり……」
咲良ちゃんに耳を貸してと合図をされて、わたしは訳のわからないままスっと耳を咲良ちゃんの方へと向ける。
「奥田くんと仲良いみたいだし、なんかあったら教えてねっ」
「へっ?」
「新しい恋の予感?」
わたしから離れた咲良ちゃんはニコニコしながらそんなことを言う。
「な、ないないない!わたしはコウくんがっ……」
思わず口に出してしまいそうになって、はっと口を手で塞ぐ。
ダメだよ。
忘れるって、諦めるって決めたばかりなのに。
「でも奥田くんと話してる芽依ちゃん、すごく楽しそうだったよ?今は何も考えず素直に楽しんでもいいんじゃないかなー」
咲良ちゃんはわたしのことをよく見てる。
夜も眠れないくらい悩んで、落ち込んで……
そんなわたしの笑顔を引き出してくれた奥田くん。
「咲良ちゃんがそう言うなら」
「そう来なくっちゃ!じゃ、頑張ってね!」
わたしの肩をポンと叩いて、咲良ちゃんは手を振りながら教室を出て行った。



