「あの梨里愛ちゃんって子が気になってるんでしょ?」
「うん……」
やっぱり咲良ちゃんはわかっていた。
明らかにあの時、生気が吸い取られてしまったかのように死んだような目をしていたから。
今までもかっこいいコウくんは告白をされていたりモテていたけれど、いつも興味がないというふうに冷たく突き放していた。
そんな様子を見て女の子が可哀想だと思ってしまうくらいだったけど、どこか安心しているわたしがいた。
でも、梨里愛ちゃんとは違う。
確実にそこには何かわたしの知らない関係がある。
これはわたしの勘でしかないけれど、あんなコウくんの姿は初めて見たから。
梨里愛ちゃんは中学校時代の彼女とか?
あのコウくんの反応からして、もしそうだとしても別れていると思う。
でも……梨里愛ちゃんの笑顔を思い出すと怖くなる。
もっとコウくんが遠くへ行ってしまうような、そんな不安。



