とても近い2人の距離。


そんな様子を見て、胸がチクリと痛んだ。



「なんでここにいんの、梨里愛」



コウくんがその女の子の名前を呼ぶ。



「やっぱり航大くんだよね?梨里愛のこと覚えててくれて嬉しいっ」


「ねぇ、俺はなんでここに居るのか聞いてるんだけど」


「航大くんと一緒だよ?親の転勤でこっちに来て近くの高校に通ってるの!それで近くにこのカフェがあったから4月から働いてるんだぁ」



コウくんと梨里愛ちゃんという女の子は知り合いみたい。


転勤でこっちに来たってことはコウくんが通ってた中学校の同級生なのかな?



「あれっ、2人知り合いなの?」


「……別に」


「そうなのー!中学校が一緒で仲良しだったもんねっ?」


「……」



わたしの変わりに須藤くんが聞きたいことを聞いてくれた。


グイグイとコウくんに迫る梨里愛と何かを隠そうとするコウくん。



「芽依ちゃん、帰ろっか」


「……うん」



わたしの異変に気がついたのか咲良ちゃんがお店から連れ出してくれた。


あのまま居たら、今にもこぼれそうだった涙が溢れだしてしまっていたかもしれない。