コウくんはまるで自分の話じゃないというふうな態度で黙々とお弁当を食べている。
須藤くんと咲良ちゃんとの間で進んでいく会話。
それについていけてないわたし。
だってあの面倒くさがりやのコウくんがだよ?
いくら親友のお願いだったとしてもバイトをするなんて考えたこと無かった。
「ねぇ、芽依ちゃん聞いてた?」
「へっ、な、なんだっけ?」
咲良ちゃんから話を振られて現実に戻る。
「倉敷くんのバイトデビュー日に一緒に行ってみようって話!」
「……え、いいの?」
コウくん嫌がりそうなのに。
チラッとコウくんの方を見てみると、やっぱりコウくんは関係ないというふうで。
「ねぇねぇコウくん、本当に行ってもいいの?」
「んー、いーんじゃない?来たいなら来たら?」
うん、怒ってはいなさそう。
コウくんがそう言うんならいいんだよね。
「まぁ、航大が断っても呼ぼうとしてたけどね」
ほら、航大のカフェ制服姿見たいでしょ?と言う須藤くんに全力で首を縦に振った。



