ぜんぶ欲しくてたまらない。




コウくんからは返事が返ってこない。


……ダメ、だったかな。



「どうしたの、行かないの?」


「どこに?」


「どこって観覧車。乗りたいんでしょ?」


「う、うんっ!!」



一緒に乗ってくれるんだ!


お化け屋敷は災難だったけど、今日はすごく幸せな1日だね。



「ありがと、コウくんっ」



観覧車の乗車列はカップルばかり。


この時間ということもあり人気みたいで結構長い列になっていた。



「かなり待ちそうだけど大丈夫?」


「芽依が乗りたいものは乗るって約束でしょ」



きっとコウくんは嫌だと思うのに。


わたしのお願いに付き合ってくれるなんて優しいね、コウくん。



「次どうぞー」



わたしたちの順番に回ってきたのは真っ赤なゴンドラだった。