悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 明日からは、運んできた種芋の選別くらいなら手伝えるだろうか。
 立ち上がり、窓を大きく開く。この地はロアよりいくぶん北にあるからか、夜風はひんやりとしていた。

(……私は、ここで何ができるのかしら)

 処刑はごめんだと立ち上がったつもりが、それだけではなくずいぶん遠くまで来てしまった。
 窓の向こうには、民家の明かりがちらちらとしている。
 前世でレオンティーナがソニアから聞かされた話とは、民家の様子もずいぶん変わっている。
 前世で、閉じ込められていた塔から見る景色が、皇宮以外はほぼ真っ暗だと言ったら、ソニアはこう返してきた。
『ランプなんか使えませんよ。燃料がもったいないから、日が暮れたらあとは寝るだけですもの』

 あの時は、ロアも夜になると寂しいものだった。明るいのは貴族の屋敷だけ。ほとんどの庶民の家では、明かりを節約していた。

(……そうよ、前回とは、違う方向に進んでいる。この国はよくなりつつある……大丈夫よ、大丈夫)

 国の衰退は、今のところ押しとどめることができている。
 レオンティーナの髪を冷たい夜風が揺らした。