明日からは、運んできた種芋の選別くらいなら手伝えるだろうか。
立ち上がり、窓を大きく開く。この地はロアよりいくぶん北にあるからか、夜風はひんやりとしていた。
(……私は、ここで何ができるのかしら)
処刑はごめんだと立ち上がったつもりが、それだけではなくずいぶん遠くまで来てしまった。
窓の向こうには、民家の明かりがちらちらとしている。
前世でレオンティーナがソニアから聞かされた話とは、民家の様子もずいぶん変わっている。
前世で、閉じ込められていた塔から見る景色が、皇宮以外はほぼ真っ暗だと言ったら、ソニアはこう返してきた。
『ランプなんか使えませんよ。燃料がもったいないから、日が暮れたらあとは寝るだけですもの』
あの時は、ロアも夜になると寂しいものだった。明るいのは貴族の屋敷だけ。ほとんどの庶民の家では、明かりを節約していた。
(……そうよ、前回とは、違う方向に進んでいる。この国はよくなりつつある……大丈夫よ、大丈夫)
国の衰退は、今のところ押しとどめることができている。
レオンティーナの髪を冷たい夜風が揺らした。
立ち上がり、窓を大きく開く。この地はロアよりいくぶん北にあるからか、夜風はひんやりとしていた。
(……私は、ここで何ができるのかしら)
処刑はごめんだと立ち上がったつもりが、それだけではなくずいぶん遠くまで来てしまった。
窓の向こうには、民家の明かりがちらちらとしている。
前世でレオンティーナがソニアから聞かされた話とは、民家の様子もずいぶん変わっている。
前世で、閉じ込められていた塔から見る景色が、皇宮以外はほぼ真っ暗だと言ったら、ソニアはこう返してきた。
『ランプなんか使えませんよ。燃料がもったいないから、日が暮れたらあとは寝るだけですもの』
あの時は、ロアも夜になると寂しいものだった。明るいのは貴族の屋敷だけ。ほとんどの庶民の家では、明かりを節約していた。
(……そうよ、前回とは、違う方向に進んでいる。この国はよくなりつつある……大丈夫よ、大丈夫)
国の衰退は、今のところ押しとどめることができている。
レオンティーナの髪を冷たい夜風が揺らした。



