悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「……いえ、いいんです」

 ヴィルヘルムもまた、アンドレアスには思うところがいろいろあるのだろう。
 明日からは、大変なことになりそうだと、レオンティーナはこっそりため息をついた。

「ご案内させていただきます」

 丁寧な物腰でふたりを案内するために来てくれたのは、この屋敷で働いている者だった。屋敷の中に入って、また目を見張る。
 ターナジアに来ても、アンドレアスは皇宮での生活と同様の快適さを求めていたようだ。邸内に置かれている家具は、いずれも真新しいものだった。家具の作りを見れば、名のある職人の手によるものであることがレオンティーナにはわかる。
 レオンティーナとヴィルヘルムの部屋は、隣り合った位置に用意されていたが、そこもまた贅を尽くした家具でしつらえられていた。ソニアの部屋は、レオンティーナの続きの間だ。

(まずは、第一関門は乗り越えたという感じかしら)

 できれば、アンドレアスには、畑の調査に同行してほしかった。グラナック博士もレオンティーナもいつまでもここにいるわけではないから、彼自身の目で現在の状況を確認してほしかったのだ。