(昔は、ヴィルヘルム様が一方的に言い負かされていたような気がするのだけれど……)
前世のヴィルヘルムは、アンドレアスにはかなわないと思っているようだった。アンドレアスが強気に出れば、いつも引いていたような覚えがある。
それは、今回の人生でも変わらないと思っていた。だが、今のヴィルヘルムは違う。
半歩前に出て、レオンティーナを背後にかばうようにしている。
(……いつまでも、かばわれているわけにもいかないわよね)
すぅっと息を吸い込む。
大丈夫、大丈夫だ。
アンドレアスを前にすると、どうしてか心が揺らぐ。怯えというのが一番近いだろうか。
前の人生では、アンドレアスの関心を買おうとしたこともあった。それは、無駄な努力でしかなくて、夫婦だったのに、ふたりの間には冷たい空気しか流れていなかった。
今回の人生では、レオンティーナは最初からアンドレアスを排除していた。彼は、ろくな皇帝にも、ろくな夫にもならないと思っていたから。
だが、今は違う。アンドレアスは、ターナジアの領主であり、レオンティーナとヴィルヘルムはそこに救援の手を差し伸べに来たのだ。怯えている場合ではない。
前世のヴィルヘルムは、アンドレアスにはかなわないと思っているようだった。アンドレアスが強気に出れば、いつも引いていたような覚えがある。
それは、今回の人生でも変わらないと思っていた。だが、今のヴィルヘルムは違う。
半歩前に出て、レオンティーナを背後にかばうようにしている。
(……いつまでも、かばわれているわけにもいかないわよね)
すぅっと息を吸い込む。
大丈夫、大丈夫だ。
アンドレアスを前にすると、どうしてか心が揺らぐ。怯えというのが一番近いだろうか。
前の人生では、アンドレアスの関心を買おうとしたこともあった。それは、無駄な努力でしかなくて、夫婦だったのに、ふたりの間には冷たい空気しか流れていなかった。
今回の人生では、レオンティーナは最初からアンドレアスを排除していた。彼は、ろくな皇帝にも、ろくな夫にもならないと思っていたから。
だが、今は違う。アンドレアスは、ターナジアの領主であり、レオンティーナとヴィルヘルムはそこに救援の手を差し伸べに来たのだ。怯えている場合ではない。



