グラナック博士にもけっこうな負担をかけてしまった。大急ぎで資料を揃えてもらったのだから、現地につくまでにしっかりと目を通しておかなくては。
けれど、ヴィルヘルムはレオンティーナの積み上げた書類をすっと自分の方に引き寄せてしまった。
「――今日はやめておこう」
「……でも、ヴィルヘルム様も、お仕事は持ってきているのでしょう?」
たしか、レオンティーナをこちらの馬車に移動させたのは、途中聞きたいことができたらすぐに聞くためではなかっただろうか。
生真面目な顔でそう問いかけると、ヴィルヘルムは笑った。
「もちろん、それもある。けれど、半分は口実に決まっているだろう?」
「口実?」
「君と、ふたりきりになるための口実。もちろん、自分のやるべきことをおろそかにするつもりはないけどね。まだ、二週間あるんだ。ずっと張りつめていたら、二週間もたないよ」
ヴィルヘルムは、レオンティーナの肩を抱いて、自分の方に引き寄せた。
レオンティーナの頭がヴィルヘルムの肩に乗り、肩を枕にしている姿勢になってしまう。
まさか、こんな風にいきなり引き寄せられるとは思っていなかった。
けれど、ヴィルヘルムはレオンティーナの積み上げた書類をすっと自分の方に引き寄せてしまった。
「――今日はやめておこう」
「……でも、ヴィルヘルム様も、お仕事は持ってきているのでしょう?」
たしか、レオンティーナをこちらの馬車に移動させたのは、途中聞きたいことができたらすぐに聞くためではなかっただろうか。
生真面目な顔でそう問いかけると、ヴィルヘルムは笑った。
「もちろん、それもある。けれど、半分は口実に決まっているだろう?」
「口実?」
「君と、ふたりきりになるための口実。もちろん、自分のやるべきことをおろそかにするつもりはないけどね。まだ、二週間あるんだ。ずっと張りつめていたら、二週間もたないよ」
ヴィルヘルムは、レオンティーナの肩を抱いて、自分の方に引き寄せた。
レオンティーナの頭がヴィルヘルムの肩に乗り、肩を枕にしている姿勢になってしまう。
まさか、こんな風にいきなり引き寄せられるとは思っていなかった。



