(……でも、まだ、この国の危機自体は去ったわけではないから……御前会議で意見を取り上げてもらえるようにしっかりやらなくちゃ)

 レオンティーナが手を打ったことで、過去の歴史は大きく変化しているが、他国の侵略をうける可能性はまだ残っている。
 帝国の国力が衰退していることを、周囲の国は気づいているだろう。

(もちろん、少し持ち直してきていることも気づいているのだろうけれど……)

 レオンティーナにとって、大切なのはこの国を滅ぼさないこと。大切な人達を守り抜くこと。
 それが、自分がこの世界にもう一度生まれた理由だと思っている。

(それにしても、今になってあの人のことを夢に見るなんて……すっかり忘れていたわ)

 処刑の場に引き出された時。
レオンティーナとたしかにあの男は目が合った。
 アーシア国王ファブリス・ブランシャール。前世で皇太子ヴィルヘルムに近づき、国の衰退を招いた男。

(まだ、あの国が攻めてくる危険は失われたわけではないのだから、しっかりしなければね)