悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「そうですね。教育制度改革の件についても……どなたか、信頼のおける方に協力をお願いしないと。たしかに、今の最優先ではありませんが、この国の未来がかかっていますから」

 レオンティーナは、そう返しながらも考える。
 一歩一歩、やれる限りのことをやっていく。レオンティーナにできるのは、そのくらいしかない。

「――ヴィルヘルム様、私はここで失礼します。会いたかった方がそこにいるので」

 ちょうど目の前を、ユリア伯爵夫人が歩いている。最初に御前会議に出席した時、レオンティーナに話しかけてくれた女性だ。

「わかった。では、三日後。支度や時間についてはあとで連絡する」
「……はい。お待ちしています」

 伯爵夫人の方に向かおうとし――レオンティーナは、思い返してヴィルヘルムの方に向き直った。ぎゅっと彼の右手を掴む。

「……大変なお役目ですけれど、頑張りましょうね」
「あ――ああ」

 ヴィルヘルムと、もう一度だけ視線を合わせる。繋いだ手を持ち上げ、ヴィルヘルムはそこにそっと唇で触れた。照れくさくなってくすくすと笑えば、そっと手が離される。