悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 たしかに、レオンティーナは自らの力で爵位を賜ったとされている。それは、レオンティーナひとりの力ではなく……。

(今までは、一度目の人生の記憶があったから、なんとかやってこられたのよ)

 自分にできることなんて、たいしたことではないとわかっているから。だから、焦らずにはいられないのだ。

「君まで巻き込むことになって、悪いと思っている」
「いえ、私は自分で巻き込まれたいと思ったんです。ヴィルヘルム様の側にいたいから」

 今の気持ちに嘘はない。
 自分が皇帝になりたいと思ったこともあった。だが、ヴィルヘルムがレオンティーナより上手に国を治めるのならば、彼が皇帝となるのが一番いい。
 一応継承権はあるとはいえ、レオンティーナは傍系の娘でしかない。誰も皇帝たる資質をもっていないのならばともかく、今のヴィルヘルムはそれにふさわしい資質を備えている。
 少なくとも、レオンティーナはそう信じている。

「……これから三日間、忙しくなるな」