悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「ええ、もちろんです……マレイモの栽培方法を、ターナジアの人達に教えるだけならば、グラナック博士だけ行ってもらえばすむ話です。私とヴィルヘルム様、ふたりで行くことに意味があるのかどうか……」

 皇帝の前で緊張はしていたが、頭まで回らなくなったわけではなかった。
 だいたい、食料援助の指揮を執(と)るだけならば、わざわざヴィルヘルムを任命する必要はないのだ。そこに、皇帝なりのなんらかの思惑があるのだろう。

「君は、話が早いから助かる。間違いなく、食糧援助は口実だ。アンドレアスと俺を引き合わせたら、何か起こると思ったんだろう。人が悪いというかなんというか」
「そうなんですか?」
「それに、俺の後継ぎとしての資質を見たいというのもあるんだろうな。この事態に俺がどう対応するのか……父上はそれを見定めようとしている」
「では、私は?」
「君を、未来の皇妃とするのがどうか本当に正しいのかと父上も迷い始めているんだろう。君は、自らの力で爵位を得た女性だから」

 その言葉に、レオンティーナは胸を突きさされたような気がした。