悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「わかりました。すぐにでも準備を始めましょう。まずは食料の手配を。こちらに三日ほどかかります。レオンティーナ、君はいつ発てる?」
「三日で準備いたします。グラナック博士に同行を依頼し、今、抱えている仕事の引継ぎなどには、そのくらいかかると思います」
「では、三日後に出(しゅっ)立(たつ)いたします、父上」

 これで話は終わったようだ。
 退出するようにと言う皇帝の合図を受け、外に出たとたんレオンティーナは膝から崩れ落ちそうになった。
 レオンティーナの肘を掴み、ヴィルヘルムが床に座り込むのだけは防いでくれる。

「どうした?」
「緊張しました……それに、こんな大役を仰(おお)せつかるとは思ってもいなくて」

 レオンティーナがまた崩れ落ちてしまわないよう、ヴィルヘルムは手を貸してくれた。ゆっくりと廊下を進みながら、話を続ける。

「でも、なぜ私とヴィルヘルム様なのでしょう? 陛下は……私達の目で見てきた報告が欲しいとおっしゃっていましたけれど」
「君は、それだけではないと思う?」