悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「殿下とのお話が終わった後、私に命令がくだされると……あの、何か申し上げた方がよかったでしょうか?」

 皇帝の前に出ると、いつだって緊張してしまう。
 三大大公家と皇帝一族は密接な関係がある。
 血が濃くなり過ぎず、薄くなり過ぎないように細心の注意を払いながら、皇帝一族と三大大公家は縁組を繰り返してきた。
 それは、いざとなれば三大大公家から皇帝となるべき人材を差し出すための準備であった。
 現在までの間に、女性が皇帝の地位についたという実績はないが、レオンティーナにも、一応、継承権はあるのだ。
 今まで女大公の例はあったのだから、女帝だっていてもいいだろう――前世の記憶がよみがえった直後、皇帝を目指すと決めた時には、そう思ったものだった。
 縁組を繰り返しているのだから、皇帝とレオンティーナの間には血縁関係があるはずなのに、いつだって彼は遠い人のように思えた。
 めったに顔を合わせることがないからかもしれない。
 親子であるヴィルヘルムは、レオンティーナの感じている緊張をまったく感じていない様子で、アンドレアスからの文を熱心に読んでいる。