それはヴィルヘルムも同じようで、ふたりの間には微妙な空間が生まれている。それを見てどう思ったのか、皇帝の口の端に笑みが浮かんだ。
「ふたりに来てもらったのはな、他でもない。ターナジアに行ってほしいのだ」
「父上。ターナジアというと、アンドレアスの領地ですが……」
ヴィルヘルムの声音に、怪(け)訝(げん)な色が混ざった。アンドレアスとヴィルヘルムの不仲については、皇帝もよく知っているだろう。
「だから、行ってもらうのだ。これを見ろ」
「アンドレアスからの文……ですね」
皇帝とヴィルヘルムの会話にまざることができず、レオンティーナはただ口を閉じ、話の推移を見守っていた。
ふたりにターナジアに行けと言うことは、レオンティーナにも何かやるべきことがあるのだろう。今、口をはさむより皇帝の支持を待つべきだ。
「そなたは、懸命だな」
黙ったまま座っているレオンティーナの方に、不意に皇帝が目を向ける。別にだらけて座っていたわけでもないのに、急に話しかけられて、ソファの上で飛び上がりそうになった。
「け……懸命とは……?」
「余計な口を挟もうとはしないではないか」
「ふたりに来てもらったのはな、他でもない。ターナジアに行ってほしいのだ」
「父上。ターナジアというと、アンドレアスの領地ですが……」
ヴィルヘルムの声音に、怪(け)訝(げん)な色が混ざった。アンドレアスとヴィルヘルムの不仲については、皇帝もよく知っているだろう。
「だから、行ってもらうのだ。これを見ろ」
「アンドレアスからの文……ですね」
皇帝とヴィルヘルムの会話にまざることができず、レオンティーナはただ口を閉じ、話の推移を見守っていた。
ふたりにターナジアに行けと言うことは、レオンティーナにも何かやるべきことがあるのだろう。今、口をはさむより皇帝の支持を待つべきだ。
「そなたは、懸命だな」
黙ったまま座っているレオンティーナの方に、不意に皇帝が目を向ける。別にだらけて座っていたわけでもないのに、急に話しかけられて、ソファの上で飛び上がりそうになった。
「け……懸命とは……?」
「余計な口を挟もうとはしないではないか」



