「今、俺がやっている仕事とはまるで方向性が違うから、今すぐ君に任せられるはずもないし……本当、何の話なんだろうな」
控室に置かれているソファに、ヴィルヘルムと並んで座る。ヴィルヘルムの手が肩にかかって、彼の方へと引き寄せられた。
とたん、すっと身体から力が抜けるのがわかる。やはり、皇帝と謁見するとあって緊張していたようだ。
肩にかかっていない方の手が、レオンティーナの手を握る。特に言葉を交わさなくても、それだけで十分だった。
(……大丈夫。今度の私は幸せになれる)
前世では、ヴィルヘルムは若いうちに暗殺されてしまった。レオンティーナの知る彼は、優しいだけの何のとりえもない人だった。
それが今では、皇帝の右腕と称えられるほどになっている。
誰も見ていないのをいいことに、もう少しだけヴィルヘルムの方に体重を預けてみる。彼はしっかりとレオンティーナを受け止めた。
いつまでも、こうしていられればいいのに。そう願ってしまうけれど、すぐにその時間は終わりとなる。
「そろそろ時間だ。行こう」
控室に置かれているソファに、ヴィルヘルムと並んで座る。ヴィルヘルムの手が肩にかかって、彼の方へと引き寄せられた。
とたん、すっと身体から力が抜けるのがわかる。やはり、皇帝と謁見するとあって緊張していたようだ。
肩にかかっていない方の手が、レオンティーナの手を握る。特に言葉を交わさなくても、それだけで十分だった。
(……大丈夫。今度の私は幸せになれる)
前世では、ヴィルヘルムは若いうちに暗殺されてしまった。レオンティーナの知る彼は、優しいだけの何のとりえもない人だった。
それが今では、皇帝の右腕と称えられるほどになっている。
誰も見ていないのをいいことに、もう少しだけヴィルヘルムの方に体重を預けてみる。彼はしっかりとレオンティーナを受け止めた。
いつまでも、こうしていられればいいのに。そう願ってしまうけれど、すぐにその時間は終わりとなる。
「そろそろ時間だ。行こう」



