アンドレアスに与えられた領地は、とても貧しい。さらには、軍の要所から外れてはいるけれど――すぐ近くにある。
　そして、母の母国とも連携を取りやすい。この状況で、彼がどう動くのか。
皇帝はそれを見ようとしている。もし、この状況で母の母国ではなく、帝国に利益をもたらすように行動するというのであれば、皇位継承権を戻すことはせずとも、皇宮への出入りくらいは許そうという気持ちがあるのかもしれない。

（……本当、前の人生の知識がなかったら、私はどうしようもないわね）

　前世の知識によって、今までなんとかやってくることができた。だが、これからは前世の知識では対応できないことがどんどん増えてくるだろう。
　けれど、実際に皇帝一族として教育を受けてきたギルベルトとの差も、こんなにも開いてしまっている。どうしたらこの差を埋めることができるのだろう。

「ウルスラでの戦いについては、興味ある？　なんと、この場所は二十回も戦いの中心となっているんだ」
「教えてください、殿下」