「――行こうか」
「こうしてお会いするのは、久しぶりですね」
ヴィルヘルムと並んで歩く。
彼と気持ちが通じ合ってから、まだ、ふた月とはたっていない。
けれど、互いの家の事情もあり、世間の恋人同士のように気楽に行き来するわけにもいかないのがもどかしい。
「本当は、また君の家のバルコニーから押しかけようと思ったんだけど」
「や……やめてください。驚いてしまいますから」
くすくすと笑ったヴィルヘルムは、レオンティーナの方へ手を伸ばす。指を搦(から)めるようにして手を繋がれ、じんわりと耳まで熱くなった。
恥ずかしい。けれど、この手を離したくない。
今、こうしている時だけは、互いの立場も忘れて、ただの恋人同士として振る舞っても許される。そんな気がしてしまう。
「今日は、どこのお花を見せてくださるのですか?」
ヴァスロア帝国の皇宮は、庭園に四季折々の花が咲き乱れている。今日は、どこの花壇を見に行こうというのだろうか。
「それもいいけど、こうしてただ歩くのは嫌かな?」
「そんなこと……」
繋いだ手にきゅっと力を入れられて、また耳がじんわりとする。
「こうしてお会いするのは、久しぶりですね」
ヴィルヘルムと並んで歩く。
彼と気持ちが通じ合ってから、まだ、ふた月とはたっていない。
けれど、互いの家の事情もあり、世間の恋人同士のように気楽に行き来するわけにもいかないのがもどかしい。
「本当は、また君の家のバルコニーから押しかけようと思ったんだけど」
「や……やめてください。驚いてしまいますから」
くすくすと笑ったヴィルヘルムは、レオンティーナの方へ手を伸ばす。指を搦(から)めるようにして手を繋がれ、じんわりと耳まで熱くなった。
恥ずかしい。けれど、この手を離したくない。
今、こうしている時だけは、互いの立場も忘れて、ただの恋人同士として振る舞っても許される。そんな気がしてしまう。
「今日は、どこのお花を見せてくださるのですか?」
ヴァスロア帝国の皇宮は、庭園に四季折々の花が咲き乱れている。今日は、どこの花壇を見に行こうというのだろうか。
「それもいいけど、こうしてただ歩くのは嫌かな?」
「そんなこと……」
繋いだ手にきゅっと力を入れられて、また耳がじんわりとする。



