悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 もう、一人前とみなされているのだ。いつまでも父に頼ってはいられない。自分の力でまずはあがけるところまであがいてみよう。

 ◇ ◇ ◇



 ヴィルヘルムと直接会話をかわす機会に恵まれたのは、御前会議から二日後のことだった。レオンティーナを連れて皇宮を訪れた父を、ヴィルヘルムが呼び止めたのだ。

「バルダート大公、レオンティーナを借りてもいいかな? 今日の午後、時間を取れたので、彼女と話がしたいんだ」
「……お父様、よろしい?」

 レオンティーナは期待をこめて父を見上げた。最後にヴィルヘルムと直接話をしたのは、もう二週間も前だ。
 御前会議の場で顔を見かけた時、視線と視線は重ねたけれど、それきり。彼と話したいことがたくさんある。

「……もちろん、かまわないとも」

 父のレオンティーナを見る目には、慈愛が浮かんでいた。その表情を見る度に、胸がいっぱいになる。
 一度目の人生では、父とはろくに会話をすることもなかった。二度目の人生では、家族の仲は良好だ。もう一度“レオンティーナ”として生まれてくることができて本当によかった。

「ありがとう、お父様」