それは、はたから聞いていたら、根拠のない自信でしかなかっただろう――けれど。ルイーザは、幸せそうに微笑んだ。

「だから、何も心配することないのよ。大丈夫、いざとなったら、アーシア王国を乗っ取ってやるから見ていなさいな」
「……はい!」

 まったく気づいていなかった。いつの間にか、ルイーザもレオンティーナの手が届かないところに行ってしまっているのに。
 けれど、それが途方もなく幸せで、再び溢れそうになる涙をこらえながら、ルイーザに精一杯の笑みを返した。

「……寂しいけれど、ルイーザ様の選択だもの。お見送りの時には、また泣いてしまうかもしれないけれど」
「馬鹿ね。私が泣きながら嫁ぐはずないでしょ」

 そうだった、ルイーザとは、こういう人だったのだ。

「大丈夫よ、レオンティーナ。私を信じて」
「……はい、ルイーザ様」

 友が離れていくのは寂しい。だが、ルイーザの決断に、心から賞賛を送らずにはいられなかった。