悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 レオンティーナの周囲には、両親のいない子供を養育する施設の出身者が何人かいる。また、皇帝からそういった施設の視察を任されることも多かった。それだけではなく、貧しい地域で暮らしている人達についても、養護施設の視察に赴いた時に話を聞く機会があった。
 金銭面で恵まれず、学校に通うこともできない子供達の中にも、レオンティーナが思ってもいないような資質を秘めた者がいる。そんな彼らに少しでも手を差し伸べられたらいいと思っての提案だった。
 両親揃っていても、貧しい家の子供は十分な教育が受けられないから、養護施設内に学校を設けて、授業料は取らずに基本の読み書きと計算くらいは学べるようにしてはどうかと提案するつもりで準備を進めてたのだ。
 だが、レオンティーナには発言の機会が与えられることはなかった。
 廊下に出てきた時、荷が重かったのではないかとレオンティーナのことを笑っていた大人達が言いたかったこともわかる。

「ひとついいかな」

 父は、レオンティーナの頭に手を置いた。まるで小さな子供を相手にしているように父はレオンティーナの頭をなでる。