「俺には、血筋のいい妃が必要だ。ヴァスロア帝国、三大大公家の娘なら充分だろう。それに、お前は皇帝が気に入っているという付加価値がついているしな。俺の国に来て、その腕を存分に振るえ」
「こ、困ります……」
またもや鎖骨をなぞられる。ヴィルヘルムに触れられた時は、あたたかなものが流れ込んでくるのに、ファブリスに触れられた時は違う。
じわりと目に涙がにじみ、逃れるはずもないのに、手はファブリスを押しのけようとする。
「なぜ、こんなことをなさるのですか……?」
「血筋のいい女が必要だと言っただろう。お前は、その中でも一番面白そうだったからな」
血筋のいい女――そう口にした時、ファブリスはやけに苦々しい口調であった。
(……この人は、貴族や王族を憎んでいるのかもしれない)
その口調から、不意にそう思う。
かつて、彼は父親から存在をなきものとされていた。王の息子でありながら、軍に入って身を立てねばならなかったほどだ。だが、跡取りがことごとくいなくなって初めて、父に必要とされた。
そんな彼に群がる貴族の女性達――以前とはまったく違う目で見られるようになったことだろう。
「こ、困ります……」
またもや鎖骨をなぞられる。ヴィルヘルムに触れられた時は、あたたかなものが流れ込んでくるのに、ファブリスに触れられた時は違う。
じわりと目に涙がにじみ、逃れるはずもないのに、手はファブリスを押しのけようとする。
「なぜ、こんなことをなさるのですか……?」
「血筋のいい女が必要だと言っただろう。お前は、その中でも一番面白そうだったからな」
血筋のいい女――そう口にした時、ファブリスはやけに苦々しい口調であった。
(……この人は、貴族や王族を憎んでいるのかもしれない)
その口調から、不意にそう思う。
かつて、彼は父親から存在をなきものとされていた。王の息子でありながら、軍に入って身を立てねばならなかったほどだ。だが、跡取りがことごとくいなくなって初めて、父に必要とされた。
そんな彼に群がる貴族の女性達――以前とはまったく違う目で見られるようになったことだろう。



