悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「俺には、血筋のいい妃が必要だ。ヴァスロア帝国、三大大公家の娘なら充分だろう。それに、お前は皇帝が気に入っているという付加価値がついているしな。俺の国に来て、その腕を存分に振るえ」
「こ、困ります……」

 またもや鎖骨をなぞられる。ヴィルヘルムに触れられた時は、あたたかなものが流れ込んでくるのに、ファブリスに触れられた時は違う。
 じわりと目に涙がにじみ、逃れるはずもないのに、手はファブリスを押しのけようとする。

「なぜ、こんなことをなさるのですか……?」
「血筋のいい女が必要だと言っただろう。お前は、その中でも一番面白そうだったからな」

 血筋のいい女――そう口にした時、ファブリスはやけに苦々しい口調であった。

(……この人は、貴族や王族を憎んでいるのかもしれない)

 その口調から、不意にそう思う。
 かつて、彼は父親から存在をなきものとされていた。王の息子でありながら、軍に入って身を立てねばならなかったほどだ。だが、跡取りがことごとくいなくなって初めて、父に必要とされた。
 そんな彼に群がる貴族の女性達――以前とはまったく違う目で見られるようになったことだろう。