声を上げることもできないまま、ソファに押し倒されていた。
「な、なぜって……私は、この国の人間ですし、その……やらねばならないこともありますし……」
「それは、お前でなければならないということはないだろう。他の者に任せてもいいはずだ」
「それはそうかもしれませんが! 私が始めたことです!」
たしかに、ファブリスの言う通りなのかもしれない。レオンティーナのやっていることなど、この帝国の中では小さなことでしかない。他の人間でも代用がきく。
だが、それを他国の人間であるファブリスに指摘されると腹が立つのはどういうわけだ。
「私は、この国を――や、やめてくださいっ!」
レオンティーナを押し倒したファブリスの力は強い。もがいても、彼の腕から抜け出すことなどできなかった。
彼の指先が、レオンティーナの頬から首をなぞり、そのまま鎖骨をすっと横になでる。飢えた肉食獣を前にした兎(うさぎ)は、こんな気持ちになるものだろうか。
「な、なぜって……私は、この国の人間ですし、その……やらねばならないこともありますし……」
「それは、お前でなければならないということはないだろう。他の者に任せてもいいはずだ」
「それはそうかもしれませんが! 私が始めたことです!」
たしかに、ファブリスの言う通りなのかもしれない。レオンティーナのやっていることなど、この帝国の中では小さなことでしかない。他の人間でも代用がきく。
だが、それを他国の人間であるファブリスに指摘されると腹が立つのはどういうわけだ。
「私は、この国を――や、やめてくださいっ!」
レオンティーナを押し倒したファブリスの力は強い。もがいても、彼の腕から抜け出すことなどできなかった。
彼の指先が、レオンティーナの頬から首をなぞり、そのまま鎖骨をすっと横になでる。飢えた肉食獣を前にした兎(うさぎ)は、こんな気持ちになるものだろうか。



