(ルイーザ様ってば、何を考えていらっしゃるのかしら……)

 ファブリスとふたりきりにされるとは思ってもいなかった。しかも、この場にはソファがひとつしか用意されていない。
 四人は並んで座れそうな大きさがあり、座ったところでファブリスと密着することにはならないだろうが、座るのはためらわれた。

「陛下、ご用というのは……」

 立ったまま問いかけると、ファブリスはソファをぽんぽんと叩いた。

「座れ。話はそれからだ」
「失礼します」

 ファブリスとは距離をあけ、用心深く少し離れたところに腰を下ろす。

「どうした? ずいぶん距離をあけるじゃないか」
「し、失礼があっては困りますので……」

 ファブリスとはできるだけ距離をあけているけれど、こんなの何の役にも立たないだろう。心細くて、片手で肘置きを掴む。

「この間の話は、考えたか?」
「この間の話というのは……陛下のお国に嫁がないかというお話でしょうか」
「それ以外に何がある」
「――それは……考えられません」
「なぜだ?」

 ぐっと腕を掴まれたかと思ったら、肘置きに密着するように座っていたのが引きはなされる。