悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「俺も、きちんと調べているから。君ひとりの肩に重荷を載せたりしない。本来、君だけで背負うべき荷でもないだろう」
「……それは、わかっています」

 ヴィルヘルムとの関係は、もどかしい。気持ちのままに突き進むことができたなら、苦労はないのだ。
 皇帝の息子と大公家の娘。ふたりが結ばれるのは当然のようにも考えられるけれど、他の大公家やその他貴族の思惑もある。なかなか思うようにはならない。

「私……あなたのことが好きです。大切なんです」
「今、そんなことを言うなんて。君は、どうしたら、俺の機嫌を直すことができるのかよく知っているんだな」

 照れたように、ヴィルヘルムが笑う。

「そんなつもりはなかったのですけど」

 レオンティーナが顔を上げると、ヴィルヘルムの手が顎にかけられる。今度のキスは、いつもどおりの甘くて優しいものだった。
 

 ヴィルヘルムと広間に戻った時には、会場は大いに盛り上がっていた。

(……ファブリス陛下と……ルイーザ様……?)

 壁際に控えたレオンティーナは目を見張った。人々の輪の中央にいるのが、ファブリスとルイーザだったからだ。