悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「そういう意味じゃありません!」
「それは、わかっているけれど」
「私……夢にとらわれすぎでしょうか?」

 ヴィルヘルムの腕の中は、レオンティーナを安心させてくれる。ヴィルヘルムの肩に頭を預けたら、「そうだな」と頭の上から声が落ちてきた。

「正直、そればかりに囚われるのは危険だと思う。君の夢と、現実は大きく違っているわけだから」

 でも、とレオンティーナは心の中で反論する。人の心なんて、簡単に変わらないと思う。彼の野心は、まだ残っているのではないだろうか。
 ファブリスは、最終的にこの国を飲み込んだのだろう。それを知る機会はないが、あの時の状況から判断するとそうなのだろうと思えてならない。

(もし……彼の野望が、前世と変わっていなかったら?)

 その不安は常に付きまとうのだ。
 記憶が戻ってから七年。
 レオンティーナは、最悪の状況を回避すべく、全力で努力を重ねてきた。その努力は今のところ実っているし、今以上を願うのが間違いだというのもわかる。

(……でも)

 そう思っているのはレオンティーナだけ。確信があっても、証拠はない。