悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 前世では、彼は当時の皇妃に近づき、ヴィルヘルムの暗殺に手を貸したとも、皇帝の暗殺に手を出したとも噂されていた。ヴィルヘルムとも親しくしていたようだから、前皇妃に手を貸したというのも十分ありえる話だ。
 もちろんそれは、レオンティーナだけの知っている別の人生の話であって、今のファブリスがヴィルヘルムやこの国に危害を加えると決まっているわけでもない。
 それでも、心の奥の方からぴりぴりとしたものが伝わってくるのを抑えることができないのだ。

「俺に近づき、国の衰退を招く原因になったというのか」
「……はい。でも、私の夢では、ヴィルヘルム様と友人――と言っていいのかどうか――だったのは、王宮に入る前だったそうですが。お忍びで、この国に入り、ヴィルヘルム様の友になったようです」

 レオンティーナの言葉に、ヴィルヘルムは難しい表情になった。

(……呆れてらっしゃるわよね)

 無言のまま、レオンティーナはヴィルヘルムに寄り添う。彼が、どう判断するかなんて少し考えればわかりそうなものなのに。

「――つまり、君は俺を心配していたと。わかるな、彼は魅力的な男だから」
「魅力的、ですか……?」