悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 ヘイルダート王国は、今もターナジアを取り戻すことを諦めていないらしい。つまり、皇帝はアンドレアスがこの地を守ることができるかどうかも見ようとしているわけだ。
 アンドレアスは、うまくこの危機を乗り越えることができるだろうか。

(戦争になると、物資を運ばないといけないのよね……)

 大人達の話を聞きながら、レオンティーナは真面目な顔をして考え込む。
 そうなったら、ターナジアはどうなってしまうのだろう。
 そこで暮らしている人達のことが心配だ。
 それから他にもいくつかの話題がのぼり、活発な議論が交わされる間、皇帝やヴィルヘルムが口を挟むことはあっても、ギルベルトは見ているだけ。
終わる度に手を上げようとしたけれど、上げる前に議長が次の発言者を指名してしまい、レオンティーナに発言の機会が巡ってくることはなかった。
 全てを終え、会議場の外に出たレオンティーナは息をついた。

(一度も、発言する機会がなかったわ……)

 昨日、懸命に作った資料。
 今日は、他の人達の話を聞くのに精一杯。手を上げようとしてみたけれど、それは議長に遮られた。