「そういう意味ではないんです。あの方、ここで何をしようとしているのかって――」
そう言えば、ヴィルヘルムにはファブリスのことは話していなかった。話すか話すまいか迷ったけれど、ヴィルヘルムは話さなければ納得しないだろう。
ダンスを数曲踊り、ヴィルヘルムが休憩をとっても差支えがなくなったところで、皇族専用の休憩室に入る。
ちらりと広間を出る前に確認したら、ルイーザはファブリスを囲んでいる一団に混ざっていたし、ギルベルトもまたアーシア王国の貴族と語り合っているようだった。
ルイーザがファブリスの側に行くなんて、と驚いたけれど、彼女には彼女なりの考えがあるのだろう。あとで教えてもらおうと思いながら、ヴィルヘルムの隣に座る。
「怒ってらっしゃいます?」
上目遣いにヴィルヘルムを見たのは、彼がぴりぴりしているからだ。彼は手を伸ばして、レオンティーナの頬に触れた。
「俺と踊っているのに、他の男ばかり見ているんだから機嫌だって悪くなる――怒るほどのことじゃない。直接、彼と話をするか?」
「そ、それは……」
そう言えば、ヴィルヘルムにはファブリスのことは話していなかった。話すか話すまいか迷ったけれど、ヴィルヘルムは話さなければ納得しないだろう。
ダンスを数曲踊り、ヴィルヘルムが休憩をとっても差支えがなくなったところで、皇族専用の休憩室に入る。
ちらりと広間を出る前に確認したら、ルイーザはファブリスを囲んでいる一団に混ざっていたし、ギルベルトもまたアーシア王国の貴族と語り合っているようだった。
ルイーザがファブリスの側に行くなんて、と驚いたけれど、彼女には彼女なりの考えがあるのだろう。あとで教えてもらおうと思いながら、ヴィルヘルムの隣に座る。
「怒ってらっしゃいます?」
上目遣いにヴィルヘルムを見たのは、彼がぴりぴりしているからだ。彼は手を伸ばして、レオンティーナの頬に触れた。
「俺と踊っているのに、他の男ばかり見ているんだから機嫌だって悪くなる――怒るほどのことじゃない。直接、彼と話をするか?」
「そ、それは……」



