悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

「そういう意味ではないんです。あの方、ここで何をしようとしているのかって――」

 そう言えば、ヴィルヘルムにはファブリスのことは話していなかった。話すか話すまいか迷ったけれど、ヴィルヘルムは話さなければ納得しないだろう。
 ダンスを数曲踊り、ヴィルヘルムが休憩をとっても差支えがなくなったところで、皇族専用の休憩室に入る。
 ちらりと広間を出る前に確認したら、ルイーザはファブリスを囲んでいる一団に混ざっていたし、ギルベルトもまたアーシア王国の貴族と語り合っているようだった。
 ルイーザがファブリスの側に行くなんて、と驚いたけれど、彼女には彼女なりの考えがあるのだろう。あとで教えてもらおうと思いながら、ヴィルヘルムの隣に座る。

「怒ってらっしゃいます?」

 上目遣いにヴィルヘルムを見たのは、彼がぴりぴりしているからだ。彼は手を伸ばして、レオンティーナの頬に触れた。

「俺と踊っているのに、他の男ばかり見ているんだから機嫌だって悪くなる――怒るほどのことじゃない。直接、彼と話をするか?」
「そ、それは……」