悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 ファブリスが気になり、ちらりと目を向けたら、彼の周囲には多数の女性が集まっていた。

(……とても、人気があるのね)

 彼の周囲には多数の花が咲き誇っているようでもある。レオンティーナが、ファブリスを気にしているのが、ヴィルヘルムに気付かれたようだ。
 ぐっと腰に回された手に力が入ったかと思ったら、いきなり大きくターンさせられる。

「……ヴィルヘルム様っ!」

 悲鳴をあげるのはこらえることができた。もう一度回されて、ヴィルヘルムの腕の中に舞い戻る。

「他の男のことを気にしているから」

 そう言ったヴィルヘルムはむすっとしていて、自分が誤解を招く行動をとっていたのに初めて気づく。

「ち、違うんですよ、ヴィルヘルム様。あの方……夢で見たのとは少し違っていたので」
「夢なんだから、違っていてもおかしくはないだろう」

 ヴィルヘルムに一度目の人生の記憶を話したのは、つい最近のこと。ヴィルヘルムにはレオンティーナの夢として話したら、彼の前では夢と言うことにしておく。

「ええ、そうなんですけれど……」
「ほら、やっぱり気にしている」