悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 ヴィルヘルムの時とは明らかに違う。それなのに、心臓はドキドキとしっぱなしだ。うつむいたまま、胸に手を当ててみるが、早鐘はとまりそうにない。

(――あの時、ファブリス王は何を考えていたのかしら)

 アンドレアスがレオンティーナより先に処刑されたのは、重傷を負っていたからだという噂もソニアが聞かせてくれた。
 下手をしたら、処刑の日まで生きていられないかもしれない。そのため、本来ならば帝国滅亡の責任を取らせるはずが、レオンティーナより先に処刑されることになった。
 冷たいものが背中を流れ落ちる。彼には近づかない方がよさそうだ。
 

 各国の代表から皇帝に祝いの品が差し出され、挨拶を終えたあとは、ダンスを始めてもいい時間になる。
 広間の前方に置かれた椅子に腰かけた皇帝は、側に集まった人達と談笑していた。
今や皇妃となったケルスティンも、その側について、挨拶に訪れる者達に柔らかな笑みを向けている。

「レオンティーナ、一曲、いいかな」
「もちろん、喜んで!」

 ヴィルヘルムは、レオンティーナに手を差し出した。喜んで彼の手を取り、ダンスフロアへと出る。