「大丈夫よね、私。落ち着いているように見えるわよね」
「見えますとも」
「ありがとう。行ってくるわ」
レオンティーナは、ソニアに礼をのべて立ち上がった。
(そうよ、何を恐れているの)
ファブリスは、前回の人生では敵だった。だが、今回の人生では彼はまだ敵だと決まったわけではない。
彼が、何を考えてここに来たのかを、しっかり見極めなければならないのだ。
レオンティーナが歩む度に、ドレスの裾は優雅に揺れた。背筋を伸ばし、扇を手に、もう一度鏡に向かって微笑みかけてみる。
(……いいえ、違うわ。ええと、こうだった、かしら……)
目にぐっと力をこめ、口角はしっかり上げる。かつて、皇妃だったレオンティーナが、しばしばしていた表情だ。
あの頃は、どうしたら自分が一番美しく見えるのかを探すのに、何度も鏡を確認したものだった。
(そうよ、私は恐れない……)
心の中で繰り返す。
レオンティーナ・バルダート。かつて、ヴァスロア帝国の皇妃であり、今はルーディア伯爵であり、バルダート大公夫妻の最愛の娘。
「見えますとも」
「ありがとう。行ってくるわ」
レオンティーナは、ソニアに礼をのべて立ち上がった。
(そうよ、何を恐れているの)
ファブリスは、前回の人生では敵だった。だが、今回の人生では彼はまだ敵だと決まったわけではない。
彼が、何を考えてここに来たのかを、しっかり見極めなければならないのだ。
レオンティーナが歩む度に、ドレスの裾は優雅に揺れた。背筋を伸ばし、扇を手に、もう一度鏡に向かって微笑みかけてみる。
(……いいえ、違うわ。ええと、こうだった、かしら……)
目にぐっと力をこめ、口角はしっかり上げる。かつて、皇妃だったレオンティーナが、しばしばしていた表情だ。
あの頃は、どうしたら自分が一番美しく見えるのかを探すのに、何度も鏡を確認したものだった。
(そうよ、私は恐れない……)
心の中で繰り返す。
レオンティーナ・バルダート。かつて、ヴァスロア帝国の皇妃であり、今はルーディア伯爵であり、バルダート大公夫妻の最愛の娘。



