悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 皇女も大公家の娘も、国内外の王族貴族と結婚するための大切な人材だから、貴族の娘ができることは全部できねば困る。淑女の大切なたしなみとされる刺繍が、どれほど上達したのかを見るという意味合いがあるそうだ。
 皇帝と顔を合わせるのは久しぶりだから、少しばかり緊張する。皇宮で開かれる誕生祝のパーティーに出席するための支度をはじめながら、レオンティーナは首を振った。

(いえ、緊張しているのは……アーシア国王と顔を合わせるかもしれないから、よね)

 前世での彼は、レオンティーナには礼儀正しく振る舞ってくれたが、最終的にはレオンティーナを処刑の場へと導いた。
 彼が何を考えて、今まで参加したことのなかった皇帝の誕生祝に参加しようという気になったのか、しっかり確認しなくては。
 昨日から、レオンティーナと家族は皇宮の中に設けられている大公家の部屋に宿泊していた。必要な品はすべて屋敷から運び込んである。
 今宵、レオンティーナの身を包むのは、少し暗い色合いの赤が美しいドレスだった。昔から、赤を身に着けることが多かった。今回の人生では、他の色を使うことも多いのだが、今日は特別だ。