悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 そして、レオンティーナの首が落とされ――ぶるりと首を振って、過去の追憶を追いやった。

「ご挨拶だけして、失礼のないように対応しますね」

 前世は皇妃だったが、今は単なる大公家の娘だ。
ファブリスと顔を合わせる機会はそうそうないだろう。レオンティーナはそう思っていた。それが、自分の甘さだというのも気づかずに。
 

 ◇ ◇ ◇

 

 アーシア王国は、ファブリスが即位する前は、少し前までのヴァスロア帝国のように荒れていたという。
 だが、前国王の死をきっかけに、王座についたファブリスは、どうやってかそれを立て直した。
 前世でヴィルヘルムが兄のように慕っていた相手ではあるが、油断はできない。

(そうよ、陛下の暗殺は、彼が裏で手を引いたという噂もあったじゃないの……)

 前世では、皇帝の死は乗馬中の事故であった。乗馬中の事故に見せかけて暗殺するのはさほど難しくないはずだ。
 だから油断してはならない――そんな風に警戒心を強めている間に、皇帝の誕生日当日を迎えていた。