母の身分が低かったことから、王子として認められず、軍人となって身を立てるつもりだったらしい。実際、彼にはその才能があった。
ベルンハルトが脳筋と揶(や)揄(ゆ)されるのと比べれば、ファブリスの戦いぶりは勇(ゆう)猛(もう)果(か)敢(かん)にして苛(か)烈(れつ)。そして、戦場全体を見通す冷静な目も持っているという。
彼がひとたび戦場に立てば、味方は歓喜し、敵は恐れをなして逃げていく。その噂はレオンティーナも聞いていた。
彼が王宮に入ることを許されたのは、軍人となってある程度の成功を収めたあとのことだった。他の兄弟が次々に死亡したため、他に適任者がいないという理由からだったらしい。
(もっとも、それは……繋ぎの王という意味合いの方が強いという話だったわよね、たしか)
ギルベルトの言葉を聞きながら、レオンティーナは自分の考えに沈み込んでいた。
前国王は、身分の低いファブリスに国を継がせるつもりはなかった。若い妻を娶り、愛人を囲い、あとを継ぐ王子をまだ作るつもりでいたという。
ベルンハルトが脳筋と揶(や)揄(ゆ)されるのと比べれば、ファブリスの戦いぶりは勇(ゆう)猛(もう)果(か)敢(かん)にして苛(か)烈(れつ)。そして、戦場全体を見通す冷静な目も持っているという。
彼がひとたび戦場に立てば、味方は歓喜し、敵は恐れをなして逃げていく。その噂はレオンティーナも聞いていた。
彼が王宮に入ることを許されたのは、軍人となってある程度の成功を収めたあとのことだった。他の兄弟が次々に死亡したため、他に適任者がいないという理由からだったらしい。
(もっとも、それは……繋ぎの王という意味合いの方が強いという話だったわよね、たしか)
ギルベルトの言葉を聞きながら、レオンティーナは自分の考えに沈み込んでいた。
前国王は、身分の低いファブリスに国を継がせるつもりはなかった。若い妻を娶り、愛人を囲い、あとを継ぐ王子をまだ作るつもりでいたという。



