「そうかな」
「未来は……ゆっくりと変えるものだと思い出したんです」
レオンティーナが今の状況を作るまでには、五年以上の月日がかかった。すぐにすべてを解決しようと思う方が間違いだったのだ。
「歩みは遅いかもしれませんけれど、ゆっくり一歩ずつ歩いていけば、いずれ道は開ける、そう思います」
「ずいぶん自信満々に言い放つんだね」
「自分の経験から、とだけ申し上げておきますね」
「僕も、これから何をするか考えておこうかな――あ、そうだ」
ひょっとしたら、これまでの話も前哨戦だったのかもしれない。ギルベルトは、気づいたように話題を変えた。
「父上の誕生祝いがまもなくあるだろう」
「……はい。贈り物のご相談ですか?」
「違う。アーシア王国のファブリス陛下が祝いにやってくるらしい」
ギルベルトの言葉は、レオンティーナが想像もしていなかったものだった。
アーシア王国のファブリス。このところ、レオンティーナの悪夢にしばしば登場している男だ。彼は、前アーシア国王がたわむれに手をつけた女性の産んだ息子なのだそうだ。
「未来は……ゆっくりと変えるものだと思い出したんです」
レオンティーナが今の状況を作るまでには、五年以上の月日がかかった。すぐにすべてを解決しようと思う方が間違いだったのだ。
「歩みは遅いかもしれませんけれど、ゆっくり一歩ずつ歩いていけば、いずれ道は開ける、そう思います」
「ずいぶん自信満々に言い放つんだね」
「自分の経験から、とだけ申し上げておきますね」
「僕も、これから何をするか考えておこうかな――あ、そうだ」
ひょっとしたら、これまでの話も前哨戦だったのかもしれない。ギルベルトは、気づいたように話題を変えた。
「父上の誕生祝いがまもなくあるだろう」
「……はい。贈り物のご相談ですか?」
「違う。アーシア王国のファブリス陛下が祝いにやってくるらしい」
ギルベルトの言葉は、レオンティーナが想像もしていなかったものだった。
アーシア王国のファブリス。このところ、レオンティーナの悪夢にしばしば登場している男だ。彼は、前アーシア国王がたわむれに手をつけた女性の産んだ息子なのだそうだ。



