悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 アンドレアスの領地は、土地は貧しく、しばしば不作に見舞われるという。

「まだ、殿下の方から何も報告は上がっておりません。一度、人をやって調べさせましょうか?」
「いや、いい。あいつがどんな判断を下すのか。それもまた、見ているのだからな」

 皇帝は妙に含みのある言葉を口にした。
 アンドレアスは、帝位継承権をはく奪されているが、皇帝はいずれアンドレアスを皇宮に戻すつもりなのだろうか。彼が、皇帝の望むように変わっていたならば。

(いえ、それは私が口にしていいことではないものね……)

 前世では女性の間をふらふらするのに忙しく、皇帝としての務(つと)めを怠(おこた)っていたアンドレアスであるけれど、今回の人生では政務にも真面目に取り組んでいた。
 皇帝は彼をまだ見捨ててはいないということなのだろう。

(……ええと、私の議題は)

 レオンティーナは、昨日遅くまでかかってようやく満足のいく形に仕上げることのできた資料をぎゅっと握りしめる。