侍従が皇帝一族の訪れを高々と告げた。一同立ち上がり、頭を下げて彼らが入室するのを待つ。
「顔を上げ、着席せよ」
自分の席に到着した皇帝が命じ、一同頭を上げて着席する。
衣擦れの音と、椅子を引く音が重なる中、レオンティーナは視線を前に向けていた。
(ヴィルヘルム様……久しぶりに会えた)
現皇帝には五人の皇子がいるが、現在御前会議に参加しているのは、そのうちのふたりだけだ。ひとりはまだ幼いために参加しておらず、それ以外のふたりは母親が罪を犯したことから、帝位継承権をはく奪され、都から遠い地位に追いやられている。
レオンティーナの視線に気づいたように、ヴィルヘルムがこちらを向く。
視線が絡んだのはほんの一瞬だったけれど、彼は目元を柔らかくした。レオンティーナは胸の鼓動が跳ね上がるのを覚え、思わずそのあたりを手で押さえてしまう。
視線を感じて顔をそちらに向ければ、同じテーブルについているユエラ伯爵夫人がこちらを微笑ましそうに見ている。赤面してレオンティーナは着席した。
(ヴィルヘルム様のことを考えてる場合じゃなかった……今は、議題に集中しないと)
「顔を上げ、着席せよ」
自分の席に到着した皇帝が命じ、一同頭を上げて着席する。
衣擦れの音と、椅子を引く音が重なる中、レオンティーナは視線を前に向けていた。
(ヴィルヘルム様……久しぶりに会えた)
現皇帝には五人の皇子がいるが、現在御前会議に参加しているのは、そのうちのふたりだけだ。ひとりはまだ幼いために参加しておらず、それ以外のふたりは母親が罪を犯したことから、帝位継承権をはく奪され、都から遠い地位に追いやられている。
レオンティーナの視線に気づいたように、ヴィルヘルムがこちらを向く。
視線が絡んだのはほんの一瞬だったけれど、彼は目元を柔らかくした。レオンティーナは胸の鼓動が跳ね上がるのを覚え、思わずそのあたりを手で押さえてしまう。
視線を感じて顔をそちらに向ければ、同じテーブルについているユエラ伯爵夫人がこちらを微笑ましそうに見ている。赤面してレオンティーナは着席した。
(ヴィルヘルム様のことを考えてる場合じゃなかった……今は、議題に集中しないと)



