レオンティーナの目には、アンドレアスは皇宮で見かけた時と大差ないように映っていた。たしかに僻地に飛ばされて、多少怒りを感じてはいるだろうけれど、それだけのように映っていた。
「はい、一度肩をお揉みさせていただきました」
「――はい?」
今、ソニアはなんと言ったのだろうか。思わず奇妙な声が漏れた。
レオンティーナの向かい側に座ったソニアは、遠慮なくクッキーに手を伸ばしながら繰り返した。
「一度、肩をお揉みさせていただいたんです」
「アンドレアス殿下の?」
「ええ。いつか、レオンティーナ様がお疲れになった時のために、勉強しておいたことが役に立ってよかったです。料理場の方や、庭師さん達に練習台になってもらいました」
「そ、そうなの……」
仕事に夢中になると多少身体がこわばることもあるが、たいていは立ち上がって伸びをして、肩を数度回せば落ち着く。
今までソニアに肩を揉んでくれと頼む必要はなかったから、そんなことまで勉強しているとは思ってもいなかった。
「なんでまたアンドレアス殿下を――」
「はい、一度肩をお揉みさせていただきました」
「――はい?」
今、ソニアはなんと言ったのだろうか。思わず奇妙な声が漏れた。
レオンティーナの向かい側に座ったソニアは、遠慮なくクッキーに手を伸ばしながら繰り返した。
「一度、肩をお揉みさせていただいたんです」
「アンドレアス殿下の?」
「ええ。いつか、レオンティーナ様がお疲れになった時のために、勉強しておいたことが役に立ってよかったです。料理場の方や、庭師さん達に練習台になってもらいました」
「そ、そうなの……」
仕事に夢中になると多少身体がこわばることもあるが、たいていは立ち上がって伸びをして、肩を数度回せば落ち着く。
今までソニアに肩を揉んでくれと頼む必要はなかったから、そんなことまで勉強しているとは思ってもいなかった。
「なんでまたアンドレアス殿下を――」



