悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~ 2

 アンドレアスの行状の悪さをレオンティーナに責任転嫁して責められたこともあったし、親愛の情など見せられたこともなかった。しかも、今回の人生においては、ヴィルヘルムやレオンティーナを殺害しようとした。
 罪が明らかになっているのなら、ザリロッド国王が妹を見捨ててもおかしくはないのだが、前世のハルディール夫人はもう少し母国と密接な関係だった気がする。
 ペンを置き、頬杖をついてため息を吐いた。

(やっぱり、ザリロッド王国がハルディール夫人を見捨てたということになるのかしら……)

 うかつに抗議すれば、ヴァスロア帝国との関係を悪化させることになりかねない。
 罪を犯した者ひとり、見捨ててもかまわないというのがザリロッド王国の下した判断かもしれなかった。

(アンドレアス殿下が、何か動きを見せるのではないかと思ったけれど、私があちらに行っている間はそんな気配もなかったし)

 頬杖をついたまま、地図をにらみつける。