ロニーからの報告書に目を通し、大きなノートに張り付けた。

(……アンドレアス殿下は、今のところ特に動いている様子はないようね)

 今、レオンティーナがいるのは、屋敷の中に設けたレオンティーナの書斎だ。
 最初は父の書斎に居候させてもらっていたのだが、レオンティーナの仕事が増えるに従い、手狭に感じるようになったので、レオンティーナ個人の書斎を設けたのだ。
 書斎は大きな窓が採られ、居心地よく過ごせるように母が細心の注意を払って揃えてくれた家具が置かれている。
 大きなデスクが二台。一台はレオンティーナのもの、もう一台はソニアのものだ。
 それから入って左右の壁は、書棚になっていて、そこにはレオンティーナの集めた資料や、各地から送られてきた報告書などがおさめられている。
 書棚の置かれていない壁面は、帝国全土の地図が一枚、それから周辺の諸国も含めた地図が一枚、皇都ロアの地図が一枚と三枚の地図が貼り付けられていた。地図の上には、赤いインクや青いインクで線が引かれたり文字が書き込まれたりしている。