これで、手持ちのカードはすべて切ってしまったことになる。
 ハイラムは未来のバルダート大公だ。そして、伯爵夫人の息子を、屋敷に招待するということは、未来の側近候補として考えているということを暗示している。

(お父様の許可は頂いているし、私の調べでも、とても可愛らしくていい子だという評判だもの。ハイラムとお友達になってくれたら、嬉しいのは嘘ではないものね)

 きちんと父の許可は得ているため、こんな発言をしても問題ではない。
 ユエラ伯爵夫人は、ますます考え込む表情になった。
 ハイラムと親交を持つのは、悪い話ではないだろう。ハイラムは、未来のバルダート大公だ。大公と親交があれば、皇族とのつながりを持つこともできる。

「ええ。私でよければ、協力させていただきますわ。優秀な人材を優先的に雇ういい機会になるかもしれませんものね。それから、“友人達”にも今まで以上に熱心にお話をさせていただきますわ」
「――嬉しいです。もし、よろしかったらお友達も招待させていただきますね」

 レオンティーナは思わず立ち上がった。
 ユエラ伯爵夫人は、レオンティーナの味方になると言ってくれた。