「ええ。でも、まったく見つからないということもないと思うんです。だって、よりよい生活を送るための機会を与えられたわけですから、努力する人はきっと現れると思います」
「……そうね」
それでもまだ、伯爵夫人は厳しい顔をしている。新しい侍女は欲しいけれど、道のりの険しさを思うと気が進まないのかもしれない。
「私ひとりの力では、どうにもならないと思います。でも、ご子息に、優秀な使用人を見つける機会かもしれません。私が、ソニアを得たように」
今度は、息子の線から攻めてみる。
「……そうね。我が家ならば、私が許可を出せばすむものね」
亡夫の忘れ形見である息子を、伯爵夫人はたいそう大切にしている。貴族の屋敷で働くためには、基本的には信頼できる仲介者が必要だ。
だが、養護施設の子供を引き取るというのは慈善活動という面もあり、下働きの者を雇い入れる時には、養護施設出身者というのは比較的候補にあがりやすかった。
「ハイラムにも、友人を見つけてやろうと思っているんです。もし、よろしければ、ご子息と一緒に今度我が家においでになりませんか?」
「……そうね」
それでもまだ、伯爵夫人は厳しい顔をしている。新しい侍女は欲しいけれど、道のりの険しさを思うと気が進まないのかもしれない。
「私ひとりの力では、どうにもならないと思います。でも、ご子息に、優秀な使用人を見つける機会かもしれません。私が、ソニアを得たように」
今度は、息子の線から攻めてみる。
「……そうね。我が家ならば、私が許可を出せばすむものね」
亡夫の忘れ形見である息子を、伯爵夫人はたいそう大切にしている。貴族の屋敷で働くためには、基本的には信頼できる仲介者が必要だ。
だが、養護施設の子供を引き取るというのは慈善活動という面もあり、下働きの者を雇い入れる時には、養護施設出身者というのは比較的候補にあがりやすかった。
「ハイラムにも、友人を見つけてやろうと思っているんです。もし、よろしければ、ご子息と一緒に今度我が家においでになりませんか?」



