伯爵夫人は、レオンティーナの方に向き直った。

「ソニアのような優秀な侍女を育てることはできるかしら。最近、侍女のなり手が少なくて困っている家も多いんですのよ」

 最近では、行儀見習いに出る者も少ないらしい。皇族や大公家では、さほど不自由していないのだが、侍女のなり手を見つけるのに苦労する家もあるそうだ。
 貴族の出自であることにはこだわらず、最低限の教養があるならばそれでよいとする家も出始めているようだ。大公家が、養護施設出身者を侍女として雇い入れたのが先例となったのだろう。

「不可能ではないと思いますが、侍女としての適性を持った者が、どれだけいるかはわかりません」

 ソニアが幸運に恵まれたと言うが、レオンティーナも恵まれているのだ。
 ソニアは、レオンティーナに忠誠を誓い、期待に応えるために全力を尽くしてくれた。他の人を連れてきたところで、同じようにできるとは限らない。

「……そう……難しいかしら……」

 伯爵夫人は、考え込んだ。